大は小をかねない
三脚選びというのはたいへん難しいものです。カメラ選びも難しいといえば難しいですが、三脚選びに比べればまだ、簡単といえるでしょう(そんなことない?)。
大判中判カメラなどを除いて考えると、カメラに関しては「大は小をかねる」という言葉がある程度有効です。たとえば、普通の一眼レフカメラでスナップ写真、旅行の記念撮影、山での撮影、三脚をどっしりと構えた風景写真、静物写真、マクロ撮影まで可能です。写真機自体はそのままで、レンズを換えたり、オプションを購入して対応できます。もちろんスナップには小型のものがいいでしょうが、無理ではありません。「大は小をかねる」といっていい範囲です。
三脚は違います。基本的には大は小をかねないのです。小型の一眼レフあるいはコンパクトカメラを載せるのに五キロを超えるような大型三脚を使うのはまったくばかげてますね。もちろん思い切り安定することには間違いありませんが、なんの意味もありません。地面すれすれのマクロしか撮るつもりはない、というのに大型三脚も意味ありません。ローアングル専用のほうがいいかもしれない。というように「大は小をかねない」のです。
三脚において重要なのは持ち運びです。持ち運びのことを考えたら軽くて三脚のほうがいいにきまっています。しかし、軽くて小さい三脚は安定しない。かるくて安定するカーボンといったって、限度があります。やはり安定性を追及するならあるていど思いほうがいい。とはいっても、いくらいい三脚でも重くて持ち歩く気にならなければまったく意味がないですから軽いほうがいい。というように、「重さ」と「安定性」の微妙なバランスが非常に難しいのですね。
高さの問題もあります。高いほうがいろいろと便利です。撮影の自由度がまします。そのためには最大高さがあるもののほうがいい。高ければ高いほど安定性は失われるわけですから、どうしても大きい重いものになりがちです。ここでもまた「重さ」と「高さ」が相反する要素となるのです。
というようなことを考えるとき、大切なのは、一本で全てのシーンに対応できるような三脚を買おう、などと思わないことです。ある程度諦めて、「旅行用」「車移動用」「小型カメラ用」など、用途に合わせて数本買ったほうがのちのちハッピーになれるでしょう。
一例をあげます。たとえば、普段はデジタル一眼レフ+標準ズームor望遠ズームで撮影する。旅行ではデジタル一眼レフ+標準ズームを使うという場合。
普段用(予算1〜2万): スリックのエイブル、ベルボンのチェイサーなど
普段用(予算3〜5万): ベルボンのカルマーニュ、スリックのカーボンマスターFAなど
旅行用(予算0.5〜1.5万円): ベルボンのウルトラシリーズ、スリックのスプリントシリーズなど
普段用(予算3〜5万): ベルボンのカルマーニュ、スリックのカーボンマスターFAなど
旅行用(予算0.5〜1.5万円): ベルボンのウルトラシリーズ、スリックのスプリントシリーズなど